サンダース氏の集会は、コアとなる若い支持者など千人が集結し、ロックコンサートのようなノリだった。上院で開かれていたトランプ大統領の弾劾裁判に出席したため、この日は現地入りできず。電話で支持者に話しかけた。支持者からは「バー・ニー、バー・ニー」との掛け声が上がる。同氏は、公立大学の授業料を無料にすること、気候危機問題、銃規制の強化など、若者に響く政策を訴え、会場をさらに沸かせた。
ウォーレン氏も、手を振り上げて演説するなど、元気いっぱいで健康的な印象だった。女性候補であるためか、支持者にも子連れの女性が目立つ。ウォーレン氏がトランプ大統領の弾劾裁判のため上院で缶詰になっていた1カ月間、選挙運動に加わった愛犬ベイリーも会場入り。若者に囲まれてほのぼのとした雰囲気だった。メッセージも前向きだ。
「私たちは、大きな構造変化と戦っていくのです。今こそ、それに向き合い、米国を再構築するのです。それが、今、ここアイオワで始まるのです」
この3人に対し、「盛り下がった」としか言えないのが、世論調査の支持率でトップを走るバイデン氏の集会だった。一目見て彼の衰えぶりに驚いた。アイオワでの選挙運動が過密だったのかもしれないが、本選挙では全米を長期間にわたり飛び回るさらに過酷なスケジュールをこなさなければならない。
他の候補のようにステージ上を動き回って、四方の支持者とアイコンタクトを取ることもなかった。終始演台におり、目の前の原稿を棒読みしている。私は08年から大統領選挙を取材しているが、選挙集会で原稿を読んでいた候補者はこれまで見たことがない。
声にも強さがない。本選挙のテレビ討論会では、トランプ大統領とステージ上で一騎打ちすることになる。バイデン氏があのダミ声の絶叫調に勝てるとは思えない。
集会は、支援者や演説スタイル、人柄の違いがにじみ出る。候補者陣営の勢いも分かる。今回の集会で私が感じたことは、党員集会の結果(2月6日現在、集票率97%)に鏡映しとなった。得票率はブダジェッジ氏が26.2%、サンダース氏が26.1%と接戦。3位がウォーレン氏で18.2%。バイデン氏は4位の15.8%と「見るも無残」(選挙ウォッチャー)、「彼の時代は終わった」(元政治記者)という始末だった。