米カリフォルニアに、家族4人の1年間のごみがわずか1リットルの瓶に収まる人がいるという。AERA2020年2月3日号では、エコで丁寧でシンプルな暮らしを夢見て、「ごみゼロおでん」にも挑戦した。
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今回降ってきたミッションは、SDGs(エス・ディー・ジーズ)。2015年の国連サミットで世界各国が合意した、17項目のサステナブルな共通目標のことを言う。それが今や、女性誌でも特集されてしまうほどの時代のキーワードに。にわかでミーハーな自分も、ひとつやってみることにした。「ゼロ・ウェイスト」つまり、ごみゼロ活動だ。
勝手に妄想弟子入りをしたのは、2008年から家族で「ゼロ・ウェイスト・ライフ」を送っている米カリフォルニア州在住のフランス人女性、ベア・ジョンソンさん。Refuse(リフューズ=断る)、Reduce(リデュース=減らす)、Reuse(リユース=繰り返し使う)、Recycle(リサイクル=資源化)、Rot(ロット=堆肥化)という五つの「R」を実行することで、家族4人で1年間に出すごみが、なんとメイソンジャーと呼ばれるガラス瓶1杯(1リットル)にも満たないという、徹底ぶりで知られる。
「社会のせいにする前に、まずは自分がやる。そんな前向きさが衝撃的でした」
彼女についてそう話すのは、その著書『ゼロ・ウェイスト・ホーム』(アノニマ・スタジオ刊)の訳者、服部雄一郎さん(43)だ。かつて神奈川県葉山町の町役場で、ごみ減量担当職員として勤務。その後この本に出合い、直接本人にコンタクトを取って日本語訳を申し出たという。服部さん自身も、ゼロ・ウェイストの実践者として知られる。
「ゼロ・ウェイストは義務ではなく、楽しみ。埋もれがちな家事という仕事のやりがいを、ここに見いだす人が増えれば、世界も変わっていくでしょうね」(服部さん)
日本独特の壁もある。例えば過剰包装だ。高温多湿の気候も関係しているのか、「量り売り」で買えるものが少なく、買い物をすると、二重三重の包装ごみが出る運命。また和を重んじる文化があり、子どもの学校や地域活動で「リフューズ(断る)」するむずかしさも、感じている。