環境にやさしい銀行の格付け、企業のエシカル通信簿。環境問題の専門家たちは、どんな視点で企業や商品を選んでいるのか。AERA2020年2月3日号は、日用品から銀行まで、その選択の理由やポイントを聞いた。
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国際環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN、本部・米サンフランシスコ)で働くハナ・ハイネケンさん(39)は、エコバッグやマイ箸を持ち歩き、食品を無駄にしないために、買い物は1週間の献立を決めてから買い物をするのが日常だ。
RANでは2009年から化石燃料部門へ融資・引き受けを行っている銀行を調査、「化石燃料ファイナンス成績表」として発表している。石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料の使用は、気候変動を拡大させることが指摘されているからだ。
「自分のお金がどこに融資されているのかを理解し、責任を持てる銀行に預けることが必要です」(ハイネケンさん)
19年版の調査では、JPモルガン・チェースなどウォール街の銀行と並んで、三菱UFJFGとみずほFGがワースト10行にランクイン。ハイネケンさんもJPモルガンとみずほに口座を持っていたが、3年前に乗り換えた。JPモルガンは航空会社と提携もしていて出張の際に使い勝手もよかった。だが、自分のお金が気候変動問題の一端になっていることが許せなかった。
RANは森林保護、先住民族や地域住民の権利保護にも取り組む。日本支部代表の川上豊幸さん(52)の名刺には「不要紙使用」と印字されていた。ティッシュやトイレットペーパーは再生紙を選ぶ。川上さんは言う。
「インドネシアから日本に輸入されるコピー用紙をはじめとした紙の多くが、熱帯林を破壊して作られた植林地からきているのです。純パルプを選ぶときも、適切に森林管理をしていることを示すFSC認証の有無を確認します」
マイボトルは当たり前。洋服はあまり持たず、持っているものを5年、10年と使い続ける。
「服は古着をリサイクルショップで買います。さすがに下着は買いませんけど」(川上さん)