日々のエコ活動も重要だが、一人ひとりが声をあげることはそれ以上に大きな効果がある。国立環境研究所地球環境研究センターの江守正多副センター長(50)は、こう話す。

「CO2の排出を減らそうといっても、世の中にはまったく興味がない人もいるのが現実。ただ、システムが変わったらそういう人でも自然とCO2を使わない生活になります」

 二酸化炭素を出さない社会経済システムに転換するためには政治が動く必要があるが、日本では気候変動の政策的な優先順位は低い。有権者が気候変動に関心を持っていることを伝えることで、少しでも政治にプレッシャーをかけ、優先順位を上げることが大事だという。

「政治家に『あなたの気候政策を聞かせてください』と質問してみることです」

 かつては路上でも職場でもたばこを平気で吸う人がいた。受動喫煙の健康被害のデータの公表、嫌煙訴訟などでいつの間にか常識が変わり、いまでは分煙が当たり前になった。

「自分のアクションが自分一人分のCO2だけを減らすのではなく、システムの変化に働きかけることにより、多くの人のCO2を減らすことになります」

 完璧なエコ生活ができなくても、当たり前にエコが実現できる社会を、堂々と求めたい。(編集部・小柳暁子)

AERA 2020年2月3日号より抜粋

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