3月といえば、卒業シーズン。昔の卒業アルバムを開くと、集合写真の隅に撮影日に欠席した児童生徒の姿が「別窓」で写っていた。ところがそれは、過去の話になりつつあるという。最近の卒業アルバムはさまざまな合成や修整が施されるのが当たり前になっているらしい。毎年、全国約9千校の卒業アルバムを制作する業界のトップメーカー、ダイコロ(大阪府枚方市)に聞いた。
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「卒業アルバムの集合写真については、欠席者を『合成』して入れるのを希望される学校が大半で、かつてのような『別窓』はもうほとんどありません」
ダイコロ営業本部の大島健裕さんは、そう言う。
集合写真に欠席者を合成して入れることは認識していた。だが、それが普通になっているとは、知らなかった。
聞くと、卒業アルバムの写真の修整はかなり以前から行われていたという。特に多いのは、目を閉じて写った児童生徒の目を開ける、「目つむり」の修整である。
「フィルムで撮影していたころはネガや印画紙に手描きして、目を開けていたようです。そして20年ほど前、学校撮影の現場でデジタルカメラが普及するようになると、目つむりの修整をパソコンで行うようになりました」
フィルム時代、目つむりの修整には職人技が求められた。極細の筆やペンを使って目を開けているように直した。
ところがデジタル時代になると、「Photoshop」などの画像編集ソフトを使って簡単に目つむりの修整ができるようになった。
「集合写真を撮る際、まず1枚撮影して、それから『もう1枚撮ります』と言って、2枚を撮るじゃないですか。最初の写真で誰の目が閉じていても、2枚目で目が開いていれば、その部分をコピーして、1枚目に貼り付ける。昔と違って、まったくわからないくらい自然に見えます」
薄れた合成への抵抗感
集合写真に欠席者を合成して入れるようになったのは10年ほど前。目つむりの修整と比べればかなり遅れたわけだが、それには二つの理由があるという。