「英語の民間試験」と「国語・数学の記述式」。大学入学共通テストの二つの目玉が見送られたが、問題はまだ山積している。入試改革の3本目の柱とされる、「主体性評価」およびそのシステム「eポートフォリオ」の推進にも不安の声が噴出している。

「入試改革を考える会」代表の大内裕和・中京大学教授は次のように語る。

「共通テストは延期し、当面はセンター試験を継続すべき。共通テスト実施まで1年1カ月しかなく、国語と数学の記述式を除いた試験のプレテスト実施は不可能。さらなる混乱を呼ぶ」

 加えて、「入試改革を考える会」の中村高康・東京大学大学院教授は、

「英語民間試験も記述式も混乱の原因は共通している。同じ間違いを繰り返さないことが重要」

 だと話す。

 英語も記述式も、審議会のメンバーの理念が先行し、専門家の声に耳を傾けられることなく「実施ありき」で押し通されてきた。

 とりわけ記述式については、「国立大学の2次試験での実施は4割」を文科省は導入の根拠にしていたが、国語など一部の教科に限定したデータだった。同時期の東北大学の調査では、国立大学の2次試験の約88%が記述式であることが判明。導入の前提が崩れても、方針を見直すこともないままここまで来た。

「『入試で教育を変える』とか、『学力の3要素』『高大接続』といった改革の最初の設定自体に無理や矛盾が多かった。公共性の高い入試への民間活用の問題も浮き彫りになった。今後、これらを抜本的に見直し、実効性のある地道な取り組みを丁寧に考えていく必要がある」(中村教授)

(文/編集部・石田かおる)

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