東京都現代美術館で開催中の「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」展。創意にあふれたミナの世界に惹かれた多くの来場者で賑わっている。AERA 2019年12月16日号で、デザイナーの皆川明さんと、会場構成を担当した建築家、田根剛さんが語り合った。
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──展覧会は、入り口の先に「実」「森」「風」「芽」「種」「根」「土」「空」と名付けられた八つの部屋が続いて、印象的です。
皆川明(以下、皆川):展覧会のタイトル「つづく」には、「つながる」「連なる」「手を組む」など、いろいろな意味を持たせています。それらを田根さんが見事に空間にしてくださいました。
田根剛(以下、田根):今回は皆川さんと、アートディレクターの葛西薫さんと僕の3人で話し合いながら、会場を作っていきました。アイデアを融合させていったので、最終的には、誰が何を担当した、という境がなくなっていく感じでしたね。
皆川:それぞれのプロフェッショナリズムの下で取り組んだわけですが、僕は田根さんのお仕事ぶりに圧倒されました。スタッフの細かい投げかけまで、すべてをいったん自分に収めて、分析して、いらないものを取り除いて、立体としてアウトプットする。田根さんの頭の中で、シナプスが枝分かれして、広がっていく様子が目に見えるようでした。
田根:僕の方こそ、皆川さんに圧倒され続けていました。刺激をいただく、というより、感銘を受ける、という感じです。今回も「種」の部屋で、皆川さんがアイデアを書き留めたスケッチや、鉛筆書きのメモなど、創意の源を展示しています。一つひとつに、あふれるような豊かさがあります。
皆川:田根さんのその言葉、メモさせていただこうかな(笑)。田根さんも、アイデアをアーカイブすることにこだわっていますよね。昨年、東京オペラシティで開かれた個展「未来の記憶」でも、顕著でした。
田根:確かにそうですね。僕は「アーキテクチャー(建築)」と同時に「アーキオロジー(考古学)」という言葉にも惹かれてきました。先が見えない時代の中で10年後を予測するよりも、人類の記憶に眠る1万年の過去を発見し、そこから未来を作ることを考えたいんです。