尿酸値が8・0ミリグラム/dLを超えると、痛風経験者や高コレステロール血症、高血圧、腎障害などの合併症がある人で薬物治療が検討される。9・0ミリグラム/dLを超えているなら、痛風発作や合併症がなくても薬物治療をおこなう。9以上を放置すると、5年以内に痛風発作が起きるリスクが高い。
■患者の体質に合った薬の選択が重要
治療の目標は「尿酸値6・0ミリグラム/dL以下の維持」だ。尿酸の結晶を溶かすためには、高尿酸血症の診断基準である7・0ミリグラム/dLでは駄目で6以下にする必要がある。
ただし急激に尿酸値を下げると、かえって発作が起きる恐れがあるという。両国東口クリニック理事長の大山博司医師はこう説明する。
「通常、尿酸降下薬開始後は、月1回で経過を見ながら、3カ月から半年くらい時間をかけて6・0ミリグラム/dL以下を目指します。安定してきたら2~3カ月に一度、血清尿酸値などをみながら尿酸降下薬を継続します」
6・0ミリグラム/dL以下になったらそれを維持し、尿酸の再結晶化を予防する。
「尿酸を過剰に作ってしまう体質、尿酸の排せつがスムーズにいかない体質が遺伝的にあるため、生活習慣の改善だけでコントロールするのが難しい人は多いです。薬をやめると尿酸値が基準を超えてしまうようなら、薬を飲み続ける必要があります」(大山医師)
薬物治療に用いる薬は、患者の体質に合ったものを選ぶ必要がある。
●四つのタイプ
1.尿酸の産生が過剰
2.腎臓からの排せつが低下している
3.産生過剰型と排せつ低下型が混合している
4.腸管からの排せつが低下している
なお、患者の7~8割は排せつ低下型だという。尿酸値を下げる主な治療薬については、表にまとめた。
「薬を適切に使う上で、厳密な方法として『尿酸クリアランス検査』があります。どのタイプに該当するか病型を分類できるため、薬の効果が出やすくなる。また、合併症や副作用なども考慮して薬を選択します」(同)