平日の昼間でも子どもと一緒に遊ぶ父親の姿を見かけるアメリカ。柔軟な働き方がそれを可能にしているのでしょう(写真/著者提供)
平日の昼間でも子どもと一緒に遊ぶ父親の姿を見かけるアメリカ。柔軟な働き方がそれを可能にしているのでしょう(写真/著者提供)
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 もう半年ほど前のことになりますが、我が家の子どもが通うプリスクール(保育園)で母の日と父の日イベントがありました。開催時間はどちらも木曜日の午後3時という、仕事をしている人にとってはコアタイムど真ん中。ずいぶん挑戦的な時間設定……と思っていたら、母親も父親も8割近くが参加していたので驚いてしまいました。

 母の日・父の日イベントのような特別な日に限らず、平日の昼間でも子どもと過ごす父母の姿をよく見かけるのがアメリカです。聞けば「休みが土日ではなく木金」とか「金土日の週休3日」とか、「専業主婦・主夫をしている」という声が返ってきますが、「仕事がリモートワーク(在宅勤務)」という人も多いです。わたしの夫も完全リモートワークのエンジニアなので、自分で仕事のスケジュールを立てて合間に子どもと散歩やジムに出かけています。

 アメリカの会社員は、43%がリモートワークを行っているそうです(2016年、Gallup調べ)。その割合は、日本の3.9%(2014年、国土交通省調べ)と比べると圧倒的な高さです。ただ、一口にリモートワークといってもさまざまで、経験なしでもいきなり始められるパートタイマー的な仕事と、ある程度経験や信頼を得ないとできないスペシャリスト的な仕事の2種類にざっくり分けられます。

 前者に当てはまるのは、完全在宅勤務が条件のデータ入力やヘルプデスク、校正、語学講師といった職業。成果や勤務状態が把握しやすいので、未経験者にも安心して頼めるということでしょう。「産前に働いていた会社は産休育休中に給与がまったく出なかったので退職。1年育児に専念した後、在宅で広告コピーライターの仕事を始めた」という女性がいれば、「妻の方が稼ぐので自分が会社を辞めた。日中は家事と育児を担当し、夜にカスタマーサポートの仕事をしている」という男性もいます。多くの場合、会社勤務と比べると給与ダウン・キャリアチェンジにはなりますが、「子どもと毎日いられるのは今の時期だけだから」「ベビーシッターや託児所に給与をまるまるつぎ込むよりは、家で親が見ていたほうが金銭的にも子どもの教育的にもいいから」といった考えで完全リモートの仕事を選ぶようです。

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子どもの突然の熱も、大雪もOK!