俳優としては若くしてその演技が注目された勝地。時には、視聴者の記憶に残るインパクトの強い役を演じて話題になった。
「05年公開の『亡国のイージス』で物語の鍵を握る役柄を演じ、19歳で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しています。また、13年に大ヒットしたNHK連続テレビ小説『あまちゃん』では、“前髪クネ男”ことTOSHIYA役で出演したのですが、たった1回の登場だったにもかかわらず、視聴者に強烈なインパクトを残しました。記憶に新しいのが、21年末に放送されたドラマ『志村けんとドリフの大爆笑物語』での加藤茶さん役。あまりのそっくりさに、『本人かと思った』という視聴者の声が相次ぎました」(同)
■日本を代表する喜劇役者に
役者人生で転機となったのは俳優・古田新太や脚本家・宮藤官九郎からの助言だったと各所で話している。日本アカデミー賞新人俳優賞受賞後は二枚目俳優路線で活動していた勝地だったが、だんだんと壁にぶつかり、起用されなくなった日々があったという。そんな時期、古田から「賢そうなふりをするな」ともアドバイスを受け、「バカでいいんだ」と気づき、以後リラックスして演技ができるようになったと話している(MBS「ごぶごぶ」、20年12月1日放送)。また、古田からは「お前さ、勘違いしているかもしれないけどこっち側だよ。多分バカだし、カッコつけているけど、こっち側だぞ」と言われたという(フジテレビ系「ノンストップ!」、23年2月27日放送)。古田からのアドバイスにより、「それで生きやすくなりました。ありがたいです」と感謝の気持ちを明かしていた。
コメンテーターで元「週刊SPA!」芸能デスクの田辺健二氏は、勝地についてこう語る。
「主演の座にこだわることなく、若くしてバイプレーヤーの道を丁寧に突き進んできたことが、今の成功につながっていると思います。2000年にデビューして以降、現在に至るまで毎年ドラマに出演し続けているというのは驚異的です。勝地さんのように“笑いの間”がちゃんとわかっていて、コメディー作品でも存在感を発揮できる人は非常に貴重です。今では日本を代表する喜劇役者と言っても過言ではなく、コメディー作品でより輝きを増す稀有な俳優です。舞台の世界でも宮藤官九郎さんだけでなく、野田秀樹さんや岩松了さん、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんなど演劇界の重鎮たちからもオファーを受けています。これだけの出演作がありながら、いまだに“前髪クネ男”が代表作と言われ続けているのが不思議ですが、そこが勝地さんらしいところでもある。今後は勝地さんにしかできない“当たり役”を追求してもらいたいですね」
唯一無二の存在感で、ドラマや舞台に引っ張りだこという状況はこれからも続きそうだ。
(高梨歩)