発作が起きたときは水をたくさん飲んだらいいというのも間違いで、「高尿酸血症や痛風のある人には日頃から水分を十分に取ることをお勧めしていますが、これは脱水状態による尿酸値の上昇や尿路結石の予防のためです。水分摂取だけで痛風が治まることは期待できません」(大山医師)とのこと。また、痛みが出ている患部を押したりマッサージしたり温めたりするのはNG。刺激しないよう安静にし、炎症を抑えるために冷やすといいそうです。
【9】50歳以降は痛風発作が出にくくなる?
答えは×で、その理由を大山医師は次のように話します。
「確かに、体内での尿酸の生産量は若い時のほうが多く、高齢になると減っていきます。しかし尿酸を排せつする機能も、年齢を重ねると減っていってしまいます。生活習慣の変化もあり若いころより痛風の頻度が減少することもありますが、高齢の患者さんでも、痛風発作を起こす人はいます」
筆者はこのうわさを、痛風歴の長い職場の先輩(40代後半・男性)から聞きました。残念ながら、今後も発作のリスクはあるそうです。
【10】女性は高尿酸血症・痛風にならない?
答えは×です。また、女性ならではの留意点について、国立病院機構米子医療センター院長の久留一郎医師は指摘します。
「女性ホルモン(エストロゲン)は尿酸の排出を促す働きがあるため、尿酸値が上がりにくいと考えられています。患者の男女比も10:1です。ただし、閉経前後で女性ホルモンが急激に減るため、リスクは増大します。さらに、女性のほうが尿酸値の影響を受けやすく、腎障害を起こすリスクが高いので、女性の尿酸値の基準は男性より1低い『6.0mg/dL以下』だと思っていてください」
【11】食べ物、飲み物、漢方薬で治せる?
筆者の周辺からは、「クエン酸を飲めば痛風にならない」「春ウコンで発作が出なくなった」という証言も寄せられました。他にも「痛風には●●が効く」などといったうわさ、効果をうたうサプリメントなどの情報は大量にあります。薬は飲みたくない、食品やサプリメントでなんとかしたいという人は案外多くいるのでしょう。
しかし、たとえばクエン酸は「尿のアルカリ化を促し、尿酸が溶けやすくなるため尿路結石の予防や多少の排せつ増加が期待できるものの、直接的に尿酸値を低下させて痛風発作を防ぐ働きは期待できません」(大山医師)というように、他によい働きをする面があったとしても、尿酸値を下げる効果はない、というものは他にもありそうです。