とはいえ、捜査技術も進歩しており、すでにその壁を乗り越えている事件も報告されている。その資料をAERAdot.が入手した。

 昨年春、西日本で立件されたある薬物事件。

「スマートフォンをモバイルフォレンジックツールで、保存データ(画像、Telegram等のメッセージ)を抽出した上で可視化」

 と冒頭に記されているのは、捜査関係者が作成した報告書だ。

 モバイルフォレンジックとは、モバイル端末を対象とした警察などの鑑識捜査のことだ。

 この事件では、テレグラムを解析して、消去されたデータを含めて犯行グループがやりとりしたメッセージや画像データが復元され、A4サイズで200枚以上に記録され判読できるようになっていた 

 報告書には<ソース:Telegram>という文字がずらりと並び、薬物取引の生々しいメッセージの交換、実際の「商品」の写真、テレグラムのアカウント名やアイコンの写真、携帯電話の番号などが明らかになっている。

 薬物関係の密売には、ツイッターやインスタグラムなどSNSのダイレクトメール(DM)が「集客」のツールになることが多い。そのアカウントは短期間で作成、削除が繰り返される。

 ルフィの強盗事件で「闇バイト」を募集したSNSのアカウントも同じだ。

 今回の報告書では、削除されたSNSのDMも解析されている。

 その中には、闇バイトへの応募者に対し、

「テレグラムはお持ちですか」

 と、より秘匿性の高いテレグラムに誘導しようとしている内容が復元されていた。

 この薬物事件では、テレグラムの他にも秘匿性の高いメッセージアプリとして知られていて、アメリカの団体が運営する「シグナル」が使われていたが、警察はその内容も解析した。逮捕された犯行グループの一人は弁護士に、

「テレグラムやシグナルは絶対にバレないツールとして使っていた。元締からもそう説明を受けていた。二つのアプリは、10秒でメッセージが消える設定にしていた。シークレットチャットのテキストだけではなく、買い手に送信した薬物の写真まできれいに復元されていてびっくりした」

 と話したという。

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犯人の身柄を確保したときに、現場では『リンゴ、リンゴ!』