6日の衆院予算委員会では、無所属の今井雅人議員が萩生田氏の加計問題への関与をうかがわせる文書を示して「これは文科省の方が書いた文章か」と質問。すると安倍首相は自席から今井氏に対し、指をさしながらヤジを飛ばした。安倍首相は自席から発言した点については謝罪したが、発言そのものは撤回しなかった。

 一方、自民党の党内には「誰にとってのツーアウトか」と、次期衆院選後の「ポスト安倍」の行方に言及する声も聞こえる。「誰」とは、言うまでもなく菅義偉官房長官のことだ。

 辞任した2大臣は安倍首相に近いことは間違いないが、最後の最後に大臣ポストに推したのは菅氏だと言われている。とくに河井前法務大臣が辞任する直接の引き金となった妻の河井案里議員は、今年7月の参議院選挙で菅氏が、「ポスト安倍」の一人である岸田文雄・政調会長の腹心、溝手顕正前議員に対して送り込んだ「刺客」だったとされる。河井氏をよく知る広島市議会の自民党関係者がこう打ち明けた。

「案里氏の問題が週刊誌に出るぞ、となった時、話題になったのは誰がリークしたのかということでした。選挙期間中の運動員への報酬が事実であるならば、受け取った側が口を割るとは思えない。それができるとすれば同じ党内の敵対していた陣営ですよ。誰が犯人なのか。やたらそのことを『上』(菅氏周辺)が気にしてましたね」

 このところ、話題にも上がらなくなった小泉進次郎・環境大臣もやはり菅氏が後ろ盾だ。派閥を持たない菅氏の求心力は人事にある。そこでしくじると一気に党内人気も減速しかねない。

 名指しはされていないまでも辞任ドミノの「3人目」候補は複数いる──。それが与野党の議員に共通する見方だ。(編集部・中原一歩)

AERA 2019年11月18日号

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