就任間もなく辞任した菅原一秀前経産相(右上)、河井克行前法相(右下)、「身の丈発言」や加計問題で野党の攻勢を受ける萩生田光一文科相(左上)、実力を疑問視する声が上がる小泉進次郎環境相 (c)朝日新聞社
就任間もなく辞任した菅原一秀前経産相(右上)、河井克行前法相(右下)、「身の丈発言」や加計問題で野党の攻勢を受ける萩生田光一文科相(左上)、実力を疑問視する声が上がる小泉進次郎環境相 (c)朝日新聞社
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 安倍首相が内閣を改造して2カ月、早くも2人の閣僚が辞任した。3人目はいるのか。それは誰なのか。長期政権が崩れ落ちる音が聞こえ始めた。AERA 2019年11月18日号に掲載された記事を紹介する。

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「1人であればいい、2人ならいい、3人ならダメということでなく、もとより1人の辞任もあってはならない思いで臨みたい」

 内閣改造から2カ月も経たないうちに菅原一秀経済産業大臣(当時)が自身の公職選挙法違反疑惑で、河井克行法務大臣(同)が妻の同法違反疑惑で辞任。「辞任ドミノ」の気配が漂う中、衆議院予算委員会で国民民主党の渡辺周議員から「安倍政権はツーアウトと言われている。3人目は断じてないとお約束いただきたい」と詰め寄られた安倍首相は、冒頭の言葉を述べ「国民のみなさんにおわび申し上げたい」と陳謝した。

 野党が「3人目」候補の最右翼と狙いを定めているのが、英語民間試験の利用は住む地域や家庭の経済状況により不公平が生じるという懸念に対し、「身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」などと発言した萩生田光一・文部科学大臣だ。

 政権はその後、民間試験導入の延期を決断。民間試験の導入を推進してきた、いわゆる“文教族”と呼ばれる自民党関係者はこういぶかった。

「官邸は事前の相談も全くないまま、ただお友達である萩生田氏を守るためだけに導入を延期した。首相本人は適材適所の人事と豪語しているが、あの人は表では立ち回らせてはいけない人。何と言っても加計学園の問題では疑惑の渦中にいる人ですよ。裏の仕事をやってきた人が、表に回るとろくなことがない」

 ある野党幹部も「萩生田」を落とせば、安倍政権の寿命は確実に縮まると追及の手を緩めない方針だ。

「この改造内閣では安倍首相と萩生田氏は一心同体ですよ。安倍首相にしてみれば、民間試験の導入延期で下がる支持率よりも、萩生田氏が辞任するリスクの方があらゆる意味で痛手だと計算したのでしょう。ただ、萩生田氏は文科大臣ですから、真正面から加計問題を国会で追及できる。安倍首相は萩生田氏のことになるとあからさまに落ち着きがなくなり高圧的な態度に出る。本当にわかりやすい」

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