即位礼正殿の儀に臨む天皇陛下と皇后雅子さま。約2千人の参列者が見守る中、国内外に即位を宣言した(写真:日本雑誌協会代表取材)
即位礼正殿の儀に臨む天皇陛下と皇后雅子さま。約2千人の参列者が見守る中、国内外に即位を宣言した(写真:日本雑誌協会代表取材)
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 令和の幕開けから約半年。天皇陛下が国内外に即位を宣言する「即位礼正殿の儀」には各国から賓客が参加した。続く「饗宴の儀」では、天皇陛下と皇后雅子さまが笑顔でもてなし、新しい皇室を印象づけた。AERA 2019年11月4日号に掲載された記事を紹介する。

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 国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓います──。22日に皇居であった「即位礼正殿(せいでん)の儀」で天皇陛下はこう述べ、自らの即位を国内外に宣言した。

 儀式は宮殿の正殿・松の間で行われ、英国のチャールズ皇太子ら191の国や国際機関からの代表合わせて約2千人が参列。平成の代替わりに比べ、約30カ国増えた。一連の儀式にかかる費用も37億円近く増え、約160億円かかる見通しだ。

 秋篠宮さまら成年の皇族方が松の間にそろうと、午後1時過ぎに儀式が始まった。

 淡く赤みがかった茶色の「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」といわれる束帯をまとった天皇陛下が、梅の間側の扉から松の間に入り、高さ約6.5メートルの高御座(たかみくら)へ。続いて十二単(ひとえ)を身につけた皇后雅子さまが松の間に入り、高御座の隣に配置された御帳台(みちょうだい)に上る。

 高御座と御帳台それぞれの正面と左右の3面のとばりが開くと、両陛下の姿が披露された。

 天皇陛下は約2分間のお言葉の中で、退位した上皇陛下について「三十年以上にわたる御在位の間、常に国民の幸せと世界の平和を願われ、いかなる時も国民と苦楽を共にされながら、その御心を御自身のお姿でお示しになってきた」と触れ、「国民の叡智(えいち)とたゆみない努力によって、我が国が一層の発展を遂げ、国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄に寄与することを切に希望いたします」と結んだ。

 皇室ジャーナリストの近重幸哉さん(58)は天皇陛下のお言葉について、「上皇陛下のなさりようを受け継いでいく決意を強く感じました。国民に心を寄せることはもとより、平成の時代に引き続き、世界の平和を願う気持ちを強調されたのが印象的でした」と話した。

 前回に比べ、多くの国から賓客が来日した点についても「日本が戦後、平和国家を貫いてきたことが大きかった。皇室が政治的なものではなく、国民の幸せと世界の平和を願うものであるということが、国際的にも受け入れられている証しだ」と評価した。

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