──本番に向けどんな準備を?

 ジュニアの頃からですが、試合になると眠れない日があります。明日のフリーでこんなジャンプを跳んであんな演技をしてとイメージして、考えだすと眠りが浅くなるんです。時差ボケ対策と寝る前にどうリラックスするかが、試合当日に影響するので、見直していきたいです。

──今スケートをする喜びは?

 子どもの頃、2回転を成功したら嬉しい時期はありました。でも今は、すごいジャンプを跳べている気がしなくて、楽しいとは思えません。あまり喜んでリラックスしてしまうと試合で後悔すると思うので、試合でちゃんと跳んでシーズン最後の試合を終えるまでは、喜ばないようにしています。スケートは自分が楽しむものではなく、自分がやるべきことという感じ。いろんな方からの恩はスケートでしか返せないので、やり抜きたいと思って練習しています。

──シーズン中の楽しみは?

 計算したり計画を立てたりすることが好きで、その時間が一番の楽しみです。明日の朝ごはんのメニューを考えてカロリーを計算して、携帯にメモしたり。試合前のパッキングも楽しいです。あとはお姉ちゃんのご飯を作ったりして、世話を焼くのが日々の楽しみです。

──GPシリーズへ意気込みを。

 今季2試合を終えて、まだ演技構成点が伸びてきていないと思います。見ている方に、曲のイメージや物語が伝わるような演技をしたいです。スピンは姿勢のバリエーションを増やし、ステップも正確なエッジを意識してプラスをもらえるようにしたいです。4回転がなくても、演技構成点と加点での伸びしろがまだあると思います。今季はGPファイナル、そして世界選手権での表彰台を目指します。

(ライター・野口美恵)

AERA 2019年10月28日号

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