同志社大学の立木茂雄教授(福祉防災学)はこう話す。
「施設は事前に人手を増やすなどの手を打ち、入所者に真摯な対応をした。全員の命が救われたことを高く評価する」
一方、一般的に高齢者を避難させる際には、早め早めの判断が必要だと指摘する。今回のケースで、施設のある地区に「避難準備・高齢者等避難開始」が発表されたのは、浸水の前日である12日午前8時半。
「この時点で避難行動をすれば、危険な目に遭わなかった可能性もある」
立木教授は、早いうちに安全な場所に避難するために、別の特別養護老人ホームを営む社会福祉法人などと災害協定を結ぶことを提案している。
「一法人で避難を完結させる必要はない。複数の施設で協力すれば早めの避難で入所者の命を守れる」
(ライター・井上有紀子)
※AERA 2019年10月28日号