フィギュアスケートの本格的なシーズン始動となるグランプリ(GP)シリーズが、10月18日(現地時間)に開幕する。5度目のファイナル制覇を狙う羽生結弦選手をはじめ、国内外の有力選手が4回転ジャンプを軸にハイレベルな戦いを繰り広げる。AERA 2019年10月21日号に掲載された記事を紹介する。
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男子は、昨季のGPファイナルを怪我のため欠場した羽生結弦(24)が、自身5度目のファイナル制覇となるかが注目だ。GPシリーズ開幕に向けてはビデオメッセージでこう語った。
「(演技の)完成形を目指すに当たって一つ一つの道を大切にしていく。(昨季は)悔しさが残ったので、今シーズンこそ(GPファイナル優勝)という気持ちはあります」
今季は初戦のオータム・クラシックで、2種類の4回転を入れる内容で優勝。試合後には、
「4回転アクセル(4回転半)のために生きている」
と、高揚感の溢れる笑顔を見せた。
人類初の大技に挑むのはいつになるのか。例年、大会ごとに急成長を見せるため、カナダ大会、NHK杯、そしてGPファイナルと続くスケジュールは、まさに4回転半への階段を一段ずつ上っていくようだ。
宇野昌磨(21)は、環境も精神面も大きく変化するシーズンだ。
「去年は結果を求めようと自分を追い込んで臨んだシーズンでした。でも満足できない結果で終わり、つらい試合ばかりだった。その経験をしてから『僕はせっかく世界と戦える機会を手に入れたのに、苦しい、つらいだけで終わらせていいのかな。楽しまないと損じゃないかな』という考えが出てきました」
5月に子どもの頃から師事してきた樋口美穂子コーチのもとを離れ、コーチ不在での戦いを決意。初めて、海外の振付師にショートとフリーを依頼した。
「小さい時に高橋大輔選手の表現に憧れてスケートをしていました。でも最近は、勝つためにはジャンプを跳ばなければならないと考え、いつのまにかスケートより、競技をやる感じになっていました。今季は演技を楽しむことがテーマ。技術と表現を両立していきたい」