そこで私は、構造を理解する上で大きなポイントとなる部分を伝え、見本を再度観察するようアドバイスしました。
子どもたちは一層真剣な表情で課題と向き合います。
そして、四苦八苦しながらも何とか設計図を描き終え、ようやく製作に入ることに。
のこぎりで材料を切り出し、紙やすりでバリ取りを行い、キリで穴をあけていかなければなりません。
「穴をあけるんが結構大変やなあ……」
工作道具に不慣れだと言っていたAくんがぽつりとつぶやきました。
慎重さと正確さが求められる作業なだけに、神経を使って、思いの外疲れたようです。
それでも途中で諦めたり、手抜きをしたりする様子は全く見られません。
マイ・ウルトラハンドの機構部分がようやく形になると、たくらみキッズは何とも満足げな表情を浮かべます。
ハンドの先端につける吸盤がなく、まだまだ不完全な状態でしたが、子どもたちにとってそんなことはお構いなし。
マイ・ウルトラハンドで机の上の小物をつかむ実験があちこちで始まりました。
パンタグラフ式の構造が生み出す動きはユーモラスで彼らの心をがっちりつかんで離さないようです。
頭で考えるだけでなく、実際にものを作ることで仕組みの理解を深めたたくらみ中学年クラス。いよいよオリジナルメカの設計に向けて動き出します。
※AERAオンライン限定記事
○山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。