


AERAで連載中の「いま観るシネマ」では、毎週、数多く公開されている映画の中から、いま観ておくべき作品の舞台裏を監督や演者に直接インタビューして紹介。「もう1本 おすすめDVD」では、あわせて観て欲しい1本をセレクトしています。
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レズビアンとゲイ、二組の同性カップルの子どもを持ちたいという願望から始まる本作。これまでの多くのLGBT映画と一線を画すのは、同性を愛することの苦悩や試練だけではなく、安定した関係となったカップルの「その後」の姿を描いているという点だろう。
「LGBTのカップルが子どもを産み、育てる。このようなテーマを扱うのは台湾映画でも初めてです」
と話すのは、愛する女性を養い守るために奔走するジョアンを演じたクー・ファンルーさん。
「最初に脚本を読んだ時に、これはとてもリアルに書かれていると感じました。だからこそオファーをいただいた時はとても嬉しかったですし、チャレンジしたいと心から思いました。ここで描かれているのは、決して特別な誰かの話ではないのです」
愛する人と結婚し、いつかは子どもを持ちたい。そう願うことはいたって「フツウ」の感情だろう。
「だからでしょうか。脚本を一度読んだ時に、どういうふうに役作りをしたらいいのかということが分かったんです。映画を見たLGBTの人が、かっこいい、素敵に演じてくれていると言ってくれたことは私にとって、とても嬉しいことでした」
同性カップルが子どもを迎えるためにはいくつかの方法があるが、本作ではファンルーさん演じるジョアンとシンディという女性カップルと、ティムとチャールズという男性カップルが互いに協力し合い「妊活」するという方法を選ぶ。ジョアンは子どものいる家庭を望むシンディのために。チャールズとティムは、孫を切望するティムの母親に自分たちの子どもを迎えることで二人の関係を認めてもらうために。4人は試行錯誤の末、体外受精によって待望の子どもを授かるが……。
「2019年5月17日、台湾では愛が勝った。私たちは真の平等に向かって大きな一歩を踏み出し、台湾をより良い国にした」