米空軍は沖縄県の嘉手納基地にF15戦闘機27機、青森県の三沢基地にF16戦闘攻撃機22機を常駐させ、ステルス戦闘機F22も嘉手納に飛来している。
72年の沖縄返還後は沖縄の防空も航空自衛隊が担い、嘉手納の米軍戦闘機は交代で約半数が韓国に展開していた。91年の湾岸戦争以後は中東にも出動している。三沢のF16は対空レーダー、対空ミサイル破壊が専門で、これもしばしば中東で活動している。
ならば、なぜ米空軍は日本にいるのか。日本の米空軍基地は実質上米本土の母基地に似た性格だから、米議会でも「日本にいる空軍機は本土の基地に戻し、そこから中東などに派遣する方が合理的ではないか」との指摘がある。そのたびに米国防当局は「日本が基地の維持費を出しているから、本土に置くより経費の節約になる」と答弁してきた。
空軍だけではない。陸上自衛隊が13万8千人余、戦車670両、ヘリコプター370機であるのに対し、在日米陸軍(2600人余)はほとんどが補給、情報部隊で、地上戦闘部隊は沖縄のトリイ通信所にいる特殊部隊1個大隊(約400人)だけ。これはフィリピンなどに派遣されていることが多い。
在日の米海兵隊(1万9300人余)の主力は「第3海兵師団」だが「師団」とは名ばかりで補給、病院、司令部の要員が大部分だ。地上戦闘部隊は歩兵1個大隊(約970人)を中心とし、それに短い滑走で離陸可能なF35戦闘機6機や大砲6門、ヘリコプター、オスプレイ計約25機、装甲車約30車両などが付く計2200人余の「第31海兵遠征隊」だけだ。
この遠征隊は佐世保を母港とする揚陸艦4隻(常時出動可能は3隻)に乗り、米第7艦隊の陸戦隊として、西太平洋、インド洋各地を巡航している。戦車は無く、歩兵970人が主体だから本格的な戦争ができる規模ではない。海外で戦乱や暴動が起きた場合、一時的に飛行場や港を確保し在留米国人を避難させるのが精いっぱいだろう。沖縄の防衛は陸上自衛隊第15旅団(約2600人)の任務だ。