「高校生だからと要求レベルを下げるのは彼らに失礼。私たちもドキドキですけど、どこまでできるのか見てみたかった」
初日の午後から3チームに分かれ、作業がスタート。各チームには同社の社員1人がメンターとしてついた。高校生たちは各自が考える「理想の社会」をホワイトボードに書き出したり、解決したい社会課題を付箋に書いてグループ分けしたり。しかし一つのテーマに絞り込むのに苦労し、事業プランに落とし込めないまま1日目は終了した。
2日目の山場は中間プレゼン。トップバッターWAC WAC FARMチームが提案したのは「異世代間のシェアハウス事業」。苦学生と高齢者がシェアハウスに住み、高齢者が手作り弁当を一般に販売した収益で、学生の家賃を補助するというアイデアだ。わかりやすいパワーポイント資料を作ったが、評価者である柴田紳社長(44)と秋山瞬執行役員(36)は手厳しかった。
「腹落ちしない。本当にそのシェアハウスに住みたい人はいるのかなあ。ロジックより思い込みで突破しようとしてない? チームで本気で議論してる? 『それは違うんじゃない?』と言える関係になってる?」
次のHANABIチームが提案した「自分に自信が持てない社員を対象に、途上国でモチベーションアップ研修をする」という事業プランにも、容赦ない質問が飛んだ。
「自信を失う原因って本人の中だけにあるのかな? 本質的な課題って本当にそこ?」
チーム5人のうち、2人が必死に質問に答えていると、今度はこう突っ込まれた。
「5人の発言量が全然違うね。まだチームになりきれていないんじゃない? 全員本気で、同じ熱でやってる?」
「世界中の農業従事者が知恵をシェアしあえるプラットフォーム」を提案したパンプキンスープチームにも、「本質的な課題はどこにあるのか突き詰め、全員同じ本気度で取り組んでほしい」と注文がついた。
3日目も4日目も高校生たちはもがき続けた。このプログラムのアドバイザーを務めた玉城麦野さん(27)は「チームでワクワクするという意味が、イマイチよくわからない」と打ち明けた生徒にこう語りかけた。