米のセレブタレントが立ち上げた下着ブランドが日本でも批判された。だが欧米で炎上の理由となった「文化の盗用」という批判とは微妙に異なる。日本人が自らを「名誉白人」と感じていることも原因ではないか。ライター・白山羊氏がリポートする。
【写真】浜ちゃんの顔黒塗りは海外で批判が集まっても日本では擁護する声も多かった
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キム・カーダシアン(38)。豊満なバストとヒップを強調したスタイリング、ぽってりしたリップ、塗り重ねたアイメイク。私生活を大胆に公開し、テレビのリアリティー番組で一躍有名になった。アメリカでは知らない人がいないセレブタレントだ。3度目の結婚相手に選んだのはラッパーのカニエ・ウエスト(42)。自身が手がけるコスメやファッションアイテムは売れに売れ、経済誌の富豪ランキング上位を飾る。そのインスタグラムは日本の人口を上回る1.4億人がフォローする。
そんな彼女が6月25日に立ち上げたのが、女性用の補正下着ブランド「KIMONO」だった。アメリカ人女性の多様な肌の色や体形に合わせたラインアップを披露。女性の美の形を押し付けず、「ダイバーシティー」(多様性)を讃える――。時代を読んだ、完璧なマーケティング戦略にみえた。
だが、物議を醸した。「KIMONO」の商標登録申請をしていることもわかり、「下着ごときを着物と呼ぶとは何ごとか」「日本の伝統文化の知名度を金儲けに利用するとは」と日本でもネット上で大炎上した。京都市の門川大作市長は、着物は「日本人の美意識や精神性、価値観の象徴」「私的に独占すべきものではない」として、再考を求める書簡を送った。世耕弘成経済産業相もツイートした。
「着物は日本が世界に誇る文化です。しっかりと審査してくれるよう、アメリカ特許商標庁にも話をしたいと思います」
この騒動によって、初めてカーダシアンの名を知った日本の読者も多かったのではないか。
日本の人々は、自らの着物姿の写真と一緒にブランド名を変えるよう抗議するツイートを相次いで投稿した。
「結婚式での着物姿。着物は大切な思い出や人生のイベントとつながるもの」