実際、前回の衆院選で、小選挙区の当選者は定数289人のうち、自民は189人と65%を占める。以下、立憲57人、維新16人、公明9人、国民6人、共産1人、社民1人と続く。他党よりも、小選挙区に空きがないという事情はあるようだ。

 東京18区は、1票の格差を是正するための「10増10減」により、府中市がはずれ、西東京市が東京19区から18区に入った。比較的リベラル色が強い土地柄とされ、今までは立憲民主党の菅直人元首相の地盤だった。

 そこで、自民党東京都連は女性限定の公募に踏み切ったが、同党都連傘下の武蔵野、小金井、西東京の3総支部は、法の下の平等を定めた憲法14条や男女雇用機会均等法に「違背する蓋然性が高い」「男性が選ばれる余地がない」と指摘し公募撤回を求める文書を都連などに送った。

 公募締め切り前、武蔵野総支部の近藤和義総支部長はAERA dot.の取材にこう答えていた。

「公募するのなら、女性も男性も平等に公募してもらえないかというだけです。男女ともに公募をした結果、女性候補になるのだったら、それでもいいんです。ただ、公募時点から女性に限定するのは、逆差別みたいなものだと思います。衆議院議員が就業にあたるとするならば、男性を排除している時点で(男女雇用機会均等法の)違反にあたる可能性があるのではないか」

 前回の衆院選では、長島昭久衆院議員が東京21区から18区に回った。18区は立憲の菅直人氏が長く当選を続ける牙城。菅氏と長島氏の対決は「師弟対決」とも取りざたされ注目選挙区となったが、結果は菅氏が6000票余りの差をつけて勝利した。小選挙区で敗れた長島氏は比例で復活当選した。

「前回の衆院選で、長島さんが18区に決まる経緯にもいろいろと問題があったんです。地元では“この人を出したい”と勘案していたところに、(党から)最初から長島さんありきで話が来た。それはないだろうということで、さんざん話し合ったのですが、結局、長島さんを受け入れました。長島さんはとてもいい人でしたが、こちらになじむのに2年くらいかかりました。そういう経緯があり、次は独自候補を出そうとしていた矢先に、また上からポンと来るのはいかがなものか。(党側は)もう二度としないと言っていたのに、また同じことをしたので腹を立てているところもあります。私どもとしてはあまり協力はできないことは伝えてあります」

 選挙は総力戦。地元とのコミュニケーションは不可欠だが、自民党の東京18区の候補者選びはどう転ぶのか。今後も注目される。

(AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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