衆議院のなかでも、自民党は特に女性議員の比率が低い。会派別にみると、自民260人(女性20人)、立憲97人(13人)、維新40人(4人)、公明32人(4人)、国民10人(1人)、共産10人(2人)、有志5人(0人)、れいわ3人(2人)、無所属4人(0人)となっている(23年2月13日時点)。自民党の女性衆議院議員は、党全体で7.7%しかいない。

 東京都の三多摩地区には、東京18区を含む9つの選挙区があるが、女性議員は一人もいない。

「女性の衆議院議員が一人もいない地域なのであれば、今回の女性限定公募には地域全体にとっても大いに意味があると思います」

 昨年の参院選では、候補者や議席の一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」を選挙公約にする政党が多かった。だが、自民党は選挙でそれには触れず、実際にクオータ制も採用していない。今回の女性限定公募では、「クオータ制も取っていない自民党が、公募を女性限定にするのはおかしい」という批判もある。

 だが、松川氏はこう反論する。

「それは的外れな批判のように思います。クオータ制を取れないから、いまだ男性ばかりなのです(笑)。クオータ制を導入すれば女性議員が増えることは、国際的に実証されています。日本はまだそこまでは進んでいませんが、機会があった時に女性候補を積極的に擁立していくことは、現状を変えていくために有益なことだと思います」

 国際的に実証されているのであれば、自民党もクオータ制を選挙公約にすればいいと思うが、松川氏は「参議院と衆議院では困難さが違う」と指摘する。

「たとえば参議院の全国比例候補者だったら、3割を女性候補者にしようという目標を立てることは無理ではありません。女性候補を優先して比例名簿に載せるようにすればいいわけです。実際、前回の参議院選挙においては、自民党の全国比例代表における候補者の3割は女性で、過去最多比率でした。しかし、衆議院の小選挙区は違います。クオータ制の対象となり得るには“空き”選挙区の数が少なすぎて、数値目標をアプリオリ(先)に設定するのは容易ではありません。選挙の度に事情も変わります。小選挙区で多く勝っている自民党だからこそ難しいのです。他党の場合は多くの“空き”があるので、クオータ制も主張しやすいのでしょう」

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支部長は「逆差別みたいなもの」