日本に来る実習生の大半は、最低賃金水準の仕事に就く。彼らを受け入れる日本側の関係者がそれほどの接待を受けることには、違和感を覚えずにいられない。ベトナム側はなぜ、そこまでしなければならないのか。まずは、実習生受け入れの流れを解説したい。

 実習生の受け入れ方には2種類あり、全体の96.6%(2017年末)は「団体監理型」だ。企業は実習生を直接採用できず、「監理団体」を通して求人票を出す。企業は監理団体が契約する海外の「送り出し機関」が募集した候補者と雇用契約を結ぶ。送り出し機関とは、実習生の募集、選考、教育を行う人材派遣会社のことだ。

 監理団体には、実習生が実習計画通りに働いているか、賃金が適正に支払われているかなど、企業を監理する責任がある。監理団体になるには政府から「外国人技能実習機構」の許可を受ける必要があり、商工会議所や事業協同組合などの非営利団体に限られる。監理団体の収入は、企業から徴収する実習生1人あたり2~5万円の監理費だ。

 送り出し機関が直接やりとりするのは、この監理団体だ。送り出し機関としては、監理団体から求人票をもらわなければ、ビジネスが始まらない。すべてとは言わないが、この力関係を悪用する監理団体が少なくない。象徴的なものが、求人票の見返りとして要求するキックバックだ。前出の大手送り出し機関幹部は話す。

「ベトナム人技能実習生が増え、送り出し機関も増えるなか、『おたくはいくらくれるんだ? ほかでもいいんだぞ』とふっかけられることは少なくない。新しい送り出し機関は求人票を買わなければ実習生を募集できません」

 手元に、ある送り出し機関の営業マンが日本の監理団体に送ったメールがある。「メリットについて」と説明があり、キックバックの項目もある。職種によって異なるが、実習生に人気の高い工場関連の求人票は1人当たり1500ドル(約17万円)、人気のない建設・農業・縫製でも800ドル(約9万円)を支払うと書かれている。

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