
日本はもちろん、今や世界中から支持される韓国の音楽。その韓国で根強い人気を誇り、「国民的歌手」とされるのが、昨年日本デビューを果たした歌手、イ・ジョクだ。
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韓国に行くと、イ・ジョクさん(45)の曲がそこかしこから聞こえてくる。彼自身の歌声はもちろん、彼の楽曲をK‐POPアーティストがカバーしていたり、オーディション番組の参加者が歌っていたりする。
日本で韓国の音楽といえばK‐POPアイドルが浮かぶが、イ・ジョクさんの音楽は老若男女に愛される「国民的楽曲」。結婚式やカラオケの定番曲は数知れない。なぜ、長く愛され続けるのか。そう質問するとイ・ジョクさんはこう笑った。
「僕の音楽はレトロだから。どうせ古いから、時間が経っても古く聞こえないのでしょう(笑)」
流行にとらわれない姿勢は、1995年のデビュー当初から変わっていない。昨年、デビュー23年目にして日本デビューを果たした。きっかけとなったのは“40代の渇き”。新しいことに挑戦したい気持ちがあったという。
同じことを20年もやっていると、自分のいる社会や環境に慣れてきて、新しい刺激が欲しくなる。それに40代になって後輩が増え、周りから大先輩として扱われるようになった。スポーツで言うと、いざという時に出てくるベテラン選手というか、コーチ的存在というか。僕はそういうのがすごく嫌なので、オーディション番組の審査員の仕事が来ても、すべて断っています。いつまでも現役でいたいんです。そんなことを思っているときに日本デビューのお話をいただき、「これだ」と思いました。日本での僕は、「誰も知らないオッサン歌手」ですから(笑)。
曲のテーマは恋愛や家族から社会問題までさまざま。手がける楽曲もまた、優しいメロディーのバラードからロックやラップ音楽、テクノ歌謡まで幅広い。
どうやって着想を得ているのか。代表的な曲について、教えてもらった。まず、2007年発表の「よかった」。イ・ジョクさん最大のヒット曲で、結婚式の定番ソングだ。