定期的に、かつ機械的に少額の金を買っていくことで、チリツモ効果を期待できるわけだ。では金投資でどのくらい資金を増やせる可能性があるのか。直近20年を5年ずつの期間に分けて、実際に毎月3000円投資していたら5年間でいくらになっていたのか、積立手数料も含めてシミュレーションした。
21世紀初めの2000年には1グラムあたり1000円前後だった金の小売り価格は、中国やインドといった新興国の需要増もあって右肩上がりの上昇が続いた。2006年には2000円台、2008年には3000円前後と上昇を続け、2013年初頭には一時5000円台に到達。5倍近くも値上がりした。
「金の価格はここ20年、好不況の波にかかわらず右肩上がりの上昇が続いてきました。そのため、2000~2004年の5年間なら13.62%(1年あたりの年利回りに換算すると2.72%)、2005~2009年は30.75%(同6.15%)、2010~2014年は8.1%(同1.62)など、資産を大きく増やすことができました。特に2005年~2009年は、途中の2008年にリーマンショックという未曽有の経済危機があったことから金価格も特に上がりましたね。この期間に月々3000円の純金積立をしていたら、手数料を含めた元本18万4500円が30.75%増の24万1239円まで増えるほどのすばらしい成績を収めました」(同)
好景気のときは言うに及ばず、世界中が不景気になって株や不動産などが大きく値を下げると、金の価格は逆に上昇することも多い。リーマンショックのような「危機」にも反応する。これが守りの資産といわれるゆえんだ。
「今後、米中貿易戦争など世界経済が不透明になる可能性が高いことを考えると、金の価格が上がることはあっても、大きく下がることは考えにくい。5年といわず10年、20年と続ければ、まとまった資産になるはず」(同)
純金積立の最大手、田中貴金属工業が全国の一般消費者2500人に「貴金属投資に関心を持った理由」を尋ねたところ、「銀行の金利が安い」「病気や老後の不安」「世界中どこでも通用する」「子供が生まれた」などの回答が上位を占めた。
銀行の定期預金金利が0.01%という超低金利時代、貯金だけでお金は増えない。子供の教育費や老後資金のために、世界中どこでも通用し、無価値になることがなく、現金化もしやすい金に関心を抱く人は増えているのだ。
「先行きが不透明な時代ほど頼りになるのも金の魅力です。株や不動産とは違った価値があると思いますね」(同)
(取材・文/新藤良太、伊藤忍)
※アエラ増刊『AERA with Money 毎月3000円で純金投資』の記事に加筆・再構成
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