これは、90年代、2000年代を代表するアイドルグループ「SMAP」にも、いまや国民的グループとなった「嵐」にも、通じるものがあるのではないか。

 日本では、遅くとも江戸時代ごろから、少年や少女が集まるアイドルグループ的な存在がことのほか好まれてきた。

 グループのファンは、センターをとるカリスマ的なメンバーだけにひかれているわけではない。2番手や3番手、もしくは一見もっとも目立たないようなメンバーに強くひかれることもある。同じグループのメンバー同士を比べることで、発見する魅力もあるだろう。こうして、異なる個性を有するアイドルグループは、一人のアイドルでは到底獲得することのできない数のファンを獲得することとなる。

 ジャニーズグループの解散や活動休止が、芸能界や娯楽世界の枠を超え、社会的な事件、事象として取り上げられるのは、このためだろう。
 
 生前、ジャニーさんにグループメンバーの組み合わせの「錬金術」について聞いたが、ジャニーさんは、グループのメンバーを緻密に計算して組み合わせているとは、認めなかった。むしろ、そもそも論として、こんな答えが返ってきた。

「『ジャニーズ顔』と言いますけれど、顔のタイプで選んだりしていません。(「V6」の)井ノ原快彦が、よく言われる『ジャニーズ顔』ですか? 要するに、本人たちのやる気ですよ」

 だがやはり、無意識のうちに理屈では説明しがたいジャニーさんならではの感覚が作用していたのではなかったか。その結果として、魅力的な集合体が生まれていったのだろう。

 そして選ばれたメンバーたちは、他のメンバーとの比較から自分のキャラクターを見いだし、その個性に自覚的に磨きをかけていったと思われる。
 
 多くの人気グループを生み出すと同時に、舞台作品も生み出した。作・演出・構成・総合演出・監修など関わり方はさまざまだったが、どの舞台にもジャニーさんならではの特色が感じられた。そして、多くは毎年のように上演されるシリーズ公演となった。

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ジャニーズの後輩に受け継がれたミュージカル