女子サッカーのW杯が開幕した。日本は優勝、準優勝だった前2回に続けるか。下の世代で監督を務めてきた高倉監督の「秘蔵っ子」たちが新戦力だ。
【写真】11年のなでしこジャパン初優勝時はまだ中学3年だった長谷川唯
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なでしこジャパンが参加するサッカー女子ワールドカップフランス大会(6月7日から7月7日)が開幕した。
2011年ドイツ大会は優勝、15年カナダ大会は準優勝。その間に行われた12年ロンドン五輪でも銀メダルを獲得し、世界大会で3大会連続で決勝に進出する黄金期を築いたなでしこジャパン。だが16年リオ五輪アジア予選で敗退すると、その後は指揮官の交代や世代交代を強いられるなど、チームは勢いと同時に世間の関心も失った。
16年4月からチームを率いるのは、A代表初の女性監督となった高倉麻子監督(51)。14年にU-17W杯を制し、16年にはU-20W杯で3位と年代別の代表で結果を出してきた指揮官は、自ら育ててきた秘蔵っ子を積極的に招集し、チームの平均年齢は24歳7カ月と今大会に出場する24チームで2番目の若さとなった。澤穂希や宮間あやらレジェンドはもういない。17人が初出場というフレッシュな顔ぶれで、来年の東京五輪につながる戦いが期待される。
攻撃のキープレーヤーを託されているのが22歳のMF長谷川唯(日テレ・ベレーザ)だ。156センチ、46キロと小柄だが、今春に日本大学を卒業すると5月にはチームでも数少ないプロ契約を勝ち取った。高い技術と広い視野が武器だ。
「(欧米の大柄な選手を相手にも)体格差はあるけど、怖さはない。W杯は目指していた大きい舞台ですけど、試合になれば国内のリーグ戦とやることは一緒。自分が中心にならなければいけない自覚はあるし、見ている人に楽しんでもらえるプレーでチームの勝利に貢献したい」
強心臓の持ち主でもある長谷川が、主戦場の左サイドから前向きで仕掛ける場面が増えれば日本のチャンスといえるだろう。
また、ボランチで攻守のつなぎ役となるのが長谷川と同じ1997年1月生まれの杉田妃和(INAC神戸)。A代表出場は7試合(W杯開幕時)とチームに定着したのは今年に入ってからだが、世代別のW杯で2度の大会MVPを獲得した逸材だ。3月の米国遠征、4月の欧州遠征でも的確なポジショニングとマイボールを相手に簡単に渡さない優れたキープ力が光った。