
「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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この連載を始めたのが2017年6月。おかげさまで今回、100回目を迎えました。この2年間で、脱プラスチックの動きや24時間営業の見直しなど、コンビニ業界を取り巻く環境が大きく変わりました。人々の価値観や情報の伝わる速さ、深さも変わるなか、ローソンも変化し続けなければなりません。今回は、一つの気づきから、多彩な売り場が生まれた例を紹介します。
ローソンには、からあげクン、バスチーといった看板商品がずらりと並んでいます。どこの店舗に行っても同じものがある安心感がコンビニの魅力でもありますが、その店舗ならではのワクワク感を創ることも重要です。
「ローソン新宿靖国通店」では韓国や中国の食材、ハラル商品が並んでいることが話題を呼びました。これは、外国人のお客さまに自国の料理を食べてもらいたいというオーナーの思いから始まったことでした。新宿といえば、以前からアジアの方は多かったと思います。地域に合った品ぞろえを考え、実行に移したことが大きな違いを生みました。今月中には新宿区、中野区、杉並区、世田谷区の約130店舗に広げる予定です。
新商品に力を注ぐのか、それとも地域の特性を前面に出すのか、お店によっても異なります。コンビニは変化対応業で、やり方はいくつもある。本社にいるだけでは、その街でどんな食材が人気なのか知ることは難しい。現場の視点でしか分からないことがあるのです。
新入社員が上げた声を集めて表彰する制度もあります。大切なのが、「ファーストタッチ」。初めて店頭に立ったときに抱いた違和感やアイデアが、大きなイノベーションにつながっていきます。今年もどんな声が上がるか楽しみです。これからもいろいろな場面で声を上げやすい環境をつくることが、私たちの役割だと思っています。
※AERA 2019年6月17日号
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