日本でもあまりの接待ぶりに「やりすぎ」「恥ずかしい」という声が上がるが、接待を受ける米国側から見ても、過剰だと感じられたことが数々の報道からわかる。ただの親友をもてなすのとはわけが違う。これはあくまで外交であり、駆け引きが絡むからだ。
トランプ氏は、今でこそ大統領だが、ビジネスにおける「マン・オブ・ディール(交渉の男)」が真の姿だ。彼が最も快感を覚えるのは、ほかでもない金銭面での「勝利」だ。
安倍首相は、自衛隊に導入する兵器として、米国製の最新鋭ステルス戦闘機F35を105機、約1兆2千億円かけて追加で“大人買い”することを表明している。トランプ氏は来日最終日に、海上自衛隊横須賀基地で護衛艦「かが」に搭乗し、
「日本は同盟国の中でも最も多い数のF35を持つことになる」
と歓迎した。
トランプ氏にとっては、おもてなしの心などよりたまらない、金銭的勝利だろう。
「安倍首相との会談は、すごくうまくいった」
という訪日最終日のトランプ氏のツイートには、嬉々とした様子が表れている。(ジャーナリスト・津山恵子)
※AERA 2019年6月10日号