運用の“中身”は、海外のETF(上場投資信託)がメイン。日本も含めた先進国、新興国の株式や債券などが経済状況に合わせて運用され、利用者の手元にはリポートが届く。運用手数料は預かり資産の年率1%。つまり10万円を1年間預けたら1千円(税別、以下同)だ。この4月から手数料体系が変更され、預かり資産が増えるほど安くなる。例えば50万円以上なら年率0.8%、100万円以上なら同0.7%だ。

 一方、今年4月に預かり資産が1400億円を突破したWealthNaviの最低投資額は10万円、積み立てなら1万円。こちらも投資対象は海外のETFで、手数料は預かり資産の1%、3千万円超で0.5%。

 気になるのは、ロボットたちの運用成績だ。THEOの場合、16年3月から19年3月までのリターンが平均的なタイプで約19%。利益重視タイプを選んだ20代の平均で約24%、リスクをあまり取らないタイプの60代以上の平均で約13%だったという。

 WealthNaviの場合、同社がサービスを開始した16年1月に100万円、その翌月から毎月3万円ずつ積み立てをしていたら、この3年間のリターンはリスク許容度に応じて7.5~18.6%という結果に。

「ネット上にはロボアドバイザーで資産運用した結果を報告する個人投資家のサイトがたくさんあります。両社の回答ほど数字がいい人はあまり見かけませんが(笑)、1年以上、続けている人は選んだリスクの度合いにもよりますが年率換算で3~8%くらいの実績を残しているようです。この時期は主な投資対象である米国市場が好調で、為替も円安方向で安定していたことが追い風になっています」(深野さん)

 全自動タイプには、1千円から始められるマネックス証券の「マネラップ」、国内の投資信託を売買する楽天証券の「楽ラップ」など、既存のネット証券も参入しており、手数料は先行した2社より割安だ。ただ、深野さんは全自動型に頼り切るのは良くないと話す。

「全自動型で投資に慣れたら、アドバイス型に切り替えを。投信を選ぶところまでをロボットに任せ、あとは自分で積み立てれば手数料がトクです。単純な積み立てなら100円からできますし、信託報酬(運用コスト)も日本株や先進国の株で0.1%台、手数料が高い新興国株でも0.2%台です」

 全自動型の年率1%と比べると、安さが際立つ。長期で運用するならコストも重視したい。

「ロボットは、投資に関するあれこれを決めてくれますが、住宅ローンを抱えているとか、子供の教育費が何年後に必要になる、といった個人的なお金の事情は考慮してくれません。投資にお金を回しすぎて住宅ローンの繰り上げ返済をやめる、など本末転倒なことにならないように注意してください」

(ジャーナリスト・安住拓哉、編集部・中島晶子)

AERA 2019年5月20日号

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