東京で爆買いし、箱根と富士山に寄って京都に入り、最後は大阪のUSJで遊んで帰る。そんな中国人観光客のゴールデンルートが変わりつつある。目指すは地方だ。何のために?
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日本の10連休とまではいかないが、中国でも異例の4連休があった。中国国務院は、5月1日の労働節(メーデー)の休暇を2日延長して4連休とする通知を3月に発表。突如現れた大型連休に、旅行会社には問い合わせが殺到した。インバウンドニュースサイト「訪日ラボ」編集長の根本一矢さんは言う。
「中国の入国管理局によれば、この4連休で海外旅行に出かけた中国人は約845万人です。休暇期間が7日間だった今年の春節(旧正月)の旅行者数、約700万人を上回ります。春節は家族と過ごすための大型連休ですが、今回の4連休は中国政府が旅行需要を喚起しようと作った連休。目論見通り、旅行者が増えたと考えられます」
日本への中国人旅行客と言えば、大量に商品を購入する爆買いが知られるが、
「2016年に人民元安による円高で旅行客の買い物消費がマイナスに働き、中国側の税制変更で買った物を国に持ち込む際の税率も上がり、爆買いは目立たなくなりました」(根本さん)
爆買いに代わり、新たに登場した中国人観光客のキーワードが「洗肺(シーフェイ)」だという。いったい、何なのか。
「きれいな空気を吸って肺をきれいにすることを洗肺と呼びます。爆買いブーム時に洗肺への兆しがあり、中国人が買うもののトップ3は炊飯器と温水便座、そして空気清浄機でした」(同)
中国では周知のとおり、微小粒子状物質「PM2.5」による深刻な大気汚染が問題になっている。改善傾向にあるが、例えば北京では、PM2.5の平均濃度は1立方メートルあたり58マイクログラム(17年)と日本の基準値15マイクログラムを大きく上回る。15年まで北京に留学していた女性(34)は振り返る。
「いつもスモークがかかった感じで、真っ青な空を見たことがありません。日本の空港に降り立った瞬間、空気ってこんなにおいしいんだと感じました」