新天皇陛下が1日午前零時に即位し、「令和」の時代が始まった。皇居周辺は午前中から多くの人でにぎわった。
すでに午前8時50分ごろ、千代田区馬場先門交差点付近や大手門付近にはそれぞれ100人ほど集まり、皇居にたどり着くのが待ちきれないかのように、歩みを止めながら、皇居に向けてスマホをかざす人たちの姿が見られた。
この日、午前10時半から始まった最初の儀式は、新天皇が皇位の証しとされる剣や勾玉(まがたま)、天皇と国家の印鑑である御璽(ぎょじ)と国璽(こくじ)を受け継いだことを公に示す「剣璽(けんじ)等承継の儀」。続いて午前11時10分すぎから、新天皇が「おことば」を述べる「即位後朝見(ちょうけん)の儀」が行われた。二つの儀式が終わった午前11時半すぎには数百人規模の人出があった。
東京都荒川区から来た33歳と38歳の夫婦は、「このところの報道で、日本国民として新しい天皇の近くまで行ってみたい」(夫)と思い、皇居に。
今の時代、たとえば米国や中国の戦争に日本も巻き込まれるのではないかという、政治への不安があるという。夫は「先の天皇は被災地でねぎらいの言葉をかけたり、いい方だと好感をもっていました。新天皇も平和を守り続けてほしい」と話す。ただ、妻は天皇に期待しすぎるのも違うと考える。
「あくまでも象徴天皇として、これからもやっていってほしいです」
ハンセン病への差別を扱った映画「砂の器」のシネマ・コンサートを見に静岡県浜松市から上京した80歳と72歳の女性は、視覚障害者のためのボランティアサークルで知り合った友人同士。「ちょっと行ってみる?」と皇居に足を延ばした。
72歳の女性は、「天皇はやはり、日本の代表であり、日本人の気持ちのまとめ役です。その役割は政治家にはできません。新天皇も象徴としてのお務めは大変だと思うけれど、世の中のために、皆の期待に応えてくださると思っています」
坂下門前のお堀脇に腰かけて産経新聞を読んでいた中野区の男性(80)は、歴史的な日に立ち会いたいと、皇居に来た。
「先ほど、皇居に向かって拝礼をすませたところです。上皇ご夫妻には、『ご苦労様でした、これからも健やかにお過ごしください』と心から申し上げたい。新天皇には、これからの長いお務め、重責かと思いますがどうか健康に注意されて務めてほしい」と話す。