──というと?

「俗物的なエコノミック・アニマルと違い、オレたちには精神世界が分かるという、どこか自分たちなりの慢心です。精神的な意識が高いと自認するスピリチュアル系の人たちは、そうではない人を見下す。“スピリチュアル・エゴ”といって、それがプライドを満たす。麻原も当時の若者たちの気質に合わせた仕組みを作り、私たちは選ばれた存在だ、特別な存在だと鼓舞しました。いわば選民思想です」

 しかも内部を眺めれば、正大師やら正悟師やら何とか大臣やら、あからさまな“階級制”が敷かれていた。省庁制については公安当局が「最終的に国家転覆を狙っていた証左」などと意味づけたが、もっと醒めた目で突き放せば、現世以上に世俗的な独裁的集団の特質が垣間見える。上祐もこう言う。

「忠誠合戦がものすごく起こりました。それもまた世俗的だったんです」

(文中敬称略)(ジャーナリスト・青木理)

AERA 2019年4月15日号より抜粋

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