「昆布やもずくなどが持つヌメリは、海藻類特有のアルギン酸という水溶性食物繊維です。メタボの抑制、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の予防につながるとして注目されつつあります」
そのほかにも、海藻にはうれしい効果・効能が期待できるという。
「例えば、善玉菌が増えて腸内環境が整うと、お通じがよくなりますし、ニキビや吹き出物といった肌トラブルも緩和されます。また、腸には免疫細胞の70%が集中しており、アレルギーと密接に関係しているといわれます。花粉症に悩まされている人は、意識的に海藻を取ることをおすすめします」
また、海藻にはミネラルや食物繊維、鉄も含まれている。鉄は女性に不足しがちとされる栄養素で、貧血防止に必要不可欠だが、「海藻に含まれるのは、ほうれん草や小松菜といった野菜と同じ植物性の鉄です。動物性の鉄と比べて吸収率が低いため、海藻から鉄を摂取する場合は、ビタミンCと一緒に取る工夫が必要です」と野口氏は続ける。
■食べ過ぎると「ヨウ素」の多量摂取に…
様々な栄養素を有し、現代人の健康のために存在しているかのような海藻だが、ヨウ素を含んでいる点には注意が必要とのこと。
「ヨウ素とはミネラルの一種で、体の成長やエネルギー代謝に必要な甲状腺ホルモンの原料となる栄養素です。とても重要な栄養素である半面、食べ過ぎると甲状腺機能が低下する可能性もあります」
ヨウ素の多量摂取は、甲状腺機能低下症を引き起こす要因だ。皮膚の乾燥、体のむくみや便秘、物忘れや倦怠感といった様々な症状が引き起こされる。甲状腺に不安を持つ人は医師の指示を仰ぐことが推奨されるが、大量に摂取しなければ問題はないという。
「海藻は、できれば毎日取りたい食材です。毎食どんぶりいっぱいの海藻を何週間も食べ続けるようなことをしなければ、特に心配することはないでしょう」
もずく、ひじき、わかめの味噌汁のような副菜として食べることが理想的だが、難しい場合は野口氏が考案した「こんぶ漬けオリーブオイル」から摂取するのもいいだろう。