「(『宝島』が)沖縄のことを考える一助になってほしい」
沖縄の歴史はすべて現在につながる。「基地の島」であることに変わりはなく、人々の頭上を米軍機やヘリが飛び交う。米軍による事故や深刻な事件も繰り返される。真藤さんは言う。
「統治時代の沖縄が、構造は変わらず地続きで今につながっている。解決していない問題ばかり」
米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設に伴う名護市辺野古沿岸部の埋め立てを問うた2月24日の県民投票にも、強い関心を寄せていた。県民投票の全県実施を求めて沖縄の若者が抗議のハンガーストライキに踏み切った時は、固唾をのんで見守った。基地の移設には賛成、反対、さまざまな立場の人がいて声をあげている。その声を奪わないでほしい、と。
沖縄の人たちは長年、基地がある世界で基地とともに生きてきた。その基地を、投票で一概に「賛成」か「反対」かで割り切って言えるものではないと考えていた。だが、県民は「どちらでもない」を選ばず、7割超が「反対」の意思を示した。自民党の支持層でも48%に上った。
「民主主義が生きている土地だなとすごく感じました。賛成、反対と多様な声がある中で、力強い民意が示されたと思う」
そして、今度はわれわれの番だと言う。
沖縄県外に暮らす人間が、今回の民意を受けて、動き、議論を活性化していく時だと話す。
「僕は小説家。小説家という立ち位置から、風を吹かせていきたい」
(編集部・野村昌二)
※AERA 2019年3月25日号