DJ LOVE:みんなが「寝かしつけるのは俺が一番うまいぞ」みたいに思ってたり。

Saori:ボーカルのレコーディングはいつも私がディレクションするんですけれど、ものすごく集中しなければいけないし、ストレスがかかるらしくて。ほんの10分でも休憩するときに子どもの顔が見られたら頑張れるから連れてきてほしい、と。

──SEKAI NO OWARIのメンバーは結成時からずっと共同生活をしてきたわけですよね。単なるバンドというよりもファミリーのような結びつきがある。

Nakajin:そうなんです。だから、もし自分にも子どもができたときに、そのファミリー的な感覚がどうなるか、今やってることができなくなるんじゃないかという怖さもあった。でも、Saoriちゃんが現場に子どもを連れてきてみんなで可愛がっているうちに、その怖さがなくなっていった。また新しい関係性みたいなものが生まれてきている感じがあります。3人のおじさんがみんなでSaoriちゃんの子どもを見るという構図に、もっと大きな、新しいファミリー感みたいなものが生まれているような気がしています。

──新作にもそうした影響はありますか? 聴いていると、曲の主人公が成長して大人になったような印象があります。

Fukase:自分の歌じゃなくて、誰かに向けて歌っている歌が増えた感じはすごくありますね。周りのスタッフからも、このアルバムを聴いて「人間らしくなったね」と言われたんです。それはやっぱり、これまではずっと守るべきものが自分自身だったのに対して、守る対象が生まれたということなのかもしれない。「Error」という曲でもその片鱗が現れているんですけれど、そういう強さがより出てきた感じはします。

 (音楽ジャーナリスト・柴那典)

AERA 2019年3月11日号