3年に1度の瀬戸内国際芸術祭が4月に開催される。芸術作品を通して、知られざる瀬戸内の魅力を味わってみませんか?
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瀬戸内芸術祭の島のなかで、一番広いのが小豆島。東西が20キロ超というけっこうな大きさで、瀬戸内海に浮かぶ島全部を見ても、淡路島についで2番目に大きい。
一日のうち潮が引く数時間しかあらわれない「エンジェルロード」やオリーブ、醤油、そうめんなど、さまざまな観光資源にも恵まれている。観光地としても、全国の離島の観光客ランキングで、石垣島などを抜いて1位になったこともある(2015年離島統計年報)。
観光地としての人気とは裏腹に、芸術祭では直島などに「センター」の座を譲っている印象だが、実は2010年のスタート時から会場となり、今年の新作を入れると約40作品と、もっとも多い作品数を誇っている。
13年に制作されたオブジェ「アンガー・フロム・ザ・ボトム 美井戸神社」(ビートたけし×ヤノベケンジ)や、船の待合室を使ったインスタレーション「アートノショーターミナル」(コシノジュンコ/アトリエオモヤ)など、注目作品も多い。
そんな小豆島土庄町の中心部を歩いてみた。その昔、海賊の襲撃や激しい雨風から家を守るため、あえて作られたという迷路のような路地が入り組んで、それでなくても方向音痴の体内コンパスが、ますますおかしくなる。実際このあたりは芸術祭が始まる前から、「迷路のまち」というキャッチフレーズで町を盛り上げていたという。
そうして道に迷ううち、「妖怪美術館」と名付けられた不思議な建物の前に出た。こちら明治時代の呉服屋の蔵、元醤油の倉庫など、「迷路のまち」の4カ所の古い建物で展開する現代アートのギャラリー。現在は「妖怪美術館」として、妖怪画家として知られるアーティスト柳生忠平の作品を中心に、妖怪関連作品を紹介している。
運営元のMeiPAMは、このエリアで、おしゃれなカフェや雑貨店、本屋さんなどを展開する地元企業だ。アートプロジェクトMeiPAMの広報担当、野村充史さんはこう話す。