格調は高いが、決して難しい話ではない。コメディーセンスもたっぷり詰め込まれた舞台で、なんといっても王様が見せる表情やしぐさのチャーミングなこと。このかわいらしさを出すために工夫したことを尋ねたが、何もないと返ってきた。

「そういうの、無理やりやろうとするとなんだか……ね。もともと僕はふざけているので根がそっちなんでしょう(笑)」

 公演中の健康は、本番の3時間のためだけにフォーカスを合わせた生活で保つそうだ。

「それ以外はカワウソのように、こう(ベターッと寝るジェスチャー)。もう無駄な動きはなし」

 ニューヨークやロンドン公演中も、どこにも行かず過ごした。

「またこれから籠の鳥・東京バージョンが始まります。でも僕は幸か不幸か、仕事に匹敵するほど楽しいことが他にない。やり始めは苦しいですけどね。それでもやっぱり楽しいんです」

(ライター・大道絵里子)

AERA 2019年3月11日号

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