4年ぶりにアルバム「Eye」「Lip」を2枚同時リリースしたSEKAI NO OWARIがAERAに登場。きらびやかなライブを繰り広げる一方で、新たなプロジェクトを進めている彼らに、今後の展望聞いた。
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まるで終わらない文化祭のようだ──。
およそ10年前。まだ誰も知らない頃のSEKAI NO OWARIの4人に会ってそう感じたことを今でも覚えている。場所は工場を改築した地下のライブハウス。デビュー前の4人はそこで一緒に暮らしていた。仲間が集まる拠点を作ろうと自分たちで物件を探し、内装も自ら手掛けた、秘密基地のような場所だった。
人気バンドとなった後も、スタジオを備えたシェアハウスでの共同生活は続いた。メンバーのSaoriとNakajin、DJ LOVEが家庭を持った今も「セカオワハウス」と呼ばれるその場所は、4人が集まり共同制作する拠点になっている。
「根本的には人と美味い酒が飲めるから生きてると思ってます」(Fukase)
セカオワの人気の秘密は楽曲だけでなく、テーマパークのような異世界空間を現出させるライブにもある。
「コンセプトからステージセット、会場で売るグッズや食事の内容まで自分たちで考えています」(Fukase)
コンセプチュアルなライブを繰り広げる一方で、水面下のプロジェクトも進んでいた。「End of the World」名義でのゼロからの海外進出を目指し、英語でのレコーディングの特訓を積んでいた。
「4年前から英語を喋れる人たちと一緒に住むようになりました。英語に合うメロディーは日本語に合うものとは違う。日本語で歌ったものを英語にするのではなく、英語でメロディーが生まれてこないとダメなんだという発想でした」(Fukase)
4年ぶりの新作アルバムは「Eye」「Lip」の2枚同時発売。さらに海外でのデビュー作「Chameleon」もリリースを控える。単なるバンドというより、運命共同体のような4人。そのファンタジックな物語は、まだまだ続く。(音楽ジャーナリスト・柴那典)
※AERA 2019年3月11日号