

元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。
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先週の流れで、白菜漬けについて書こうと思います。
白菜漬けって自分で作れるんです。ということを、長い間ずっと知らなかった。っていうか理論的には作れるのであろうとは思っていたが、専門的で難しく大変なことに違いないと決めつけていた。
いやーなんもなんも。こんな簡単なことったらなかったのだよ。私のやり方は、白菜をザクザク切って塩で揉み重しを乗せ数日間。以上。数日経つと水が出て白い膜が張ってくる。現代人はこういうのを見ると「カビだ!」とビビるのですが、なんとこれは美味しく完成した合図。発酵して酸っぱくなったシルシ。食べてみりゃわかる。万一悪いカビだったら絶対わかるから吐き出せばよろしい。
で、これさえあればご飯何杯でも! ああザクザク酸っぱい白菜漬け。そのまま食べるだけじゃなくて卵でとじても肉と炒めてもいいし、鍋の具にするとサンラータンのよう。しかしやはりそのままご飯とかっこむのがわたしゃ一番好きだね。
だがしかし。誰もやらない。簡単美味しいと言いまくってもフーンと聞いてはくれるがそこまで。仕込みは10分程度なのに。ほったらかしとけば何日分ものおかずが完成するのに。最近人気の発酵食品なのに。やりまへんな実際。