80%が治ると言われるようになった小児がん。だが、「その後」も影響が続くことはあまり知られていない。
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「あったかいレモネードはいかがですか?」
1月中旬、フットサルの試合が開催された小田原アリーナ(神奈川県)の会場で、高校2年生の浦尻一乃(うらしりいちの)さん(17)が呼びかけた。患者団体「神経芽腫(がしゅ)の会」がチャリティー活動の一環で企画した「レモネードスタンド」。闘病を経験した子どもらが店頭に立った。
浦尻さんは、神経の細胞にできるがん「神経芽腫」を5歳で発症。手術や抗がん剤治療を受けた。だが10歳で再発し、さらなる治療を乗り越えた。
抗がん剤治療の影響で筋肉がつきにくくなった。骨密度が低くなり、走れば膝が激しく痛む。背がなかなか伸びない「低身長」も小児がん治療後に見られる合併症の一つで、浦尻さんは小学校高学年になっても身長は120センチ台だった。
「小学生の頃は、男子とか、デリカシーのない時期。揶揄(やゆ)されるとすごい嫌で。まわりの目が一番嫌だったかな。学校では我慢して、家で泣いていました」
10代になってからの大きな悩みは、腸の障害で排泄(はいせつ)のコントロールが利かなくなったこと。授業中にトイレに駆け込むこともある。登校途中でおなかの調子が悪くなり、遅刻することもしばしばだ。