『ブラックないきもの図鑑』出版記念トークショーの様子(撮影/片桐圭子)
『ブラックないきもの図鑑』出版記念トークショーの様子(撮影/片桐圭子)

 好評発売中の『ブラックないきもの図鑑』(朝日新聞出版)の出版を記念して、監修者である動物学者の今泉忠明さんのトークショーが朝日新聞社読者ホールで開かれた。『ざんねんないきもの事典』シリーズなど数々のベストセラーの監修を手がける今泉さんが、最も驚いたいきものは何なのか。

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 今泉さんと言えば、『ブラックないきもの図鑑』をはじめ、『ざんねんないきもの事典』『わけあって絶滅しました。』など、いま人気の動物関連本を数多く監修している。70歳を超えた今も、月に2回は富士山や東京都奥多摩地方の森林にフィールドワークに出かけ、動物の生態を調べ続けている。

 そんな動物に関するスペシャリスト中のスペシャリストが、最も驚いたいきものは――。

 それはハダカデバネズミだ。ハダカデバネズミの群れは女王をトップとした階級社会が作られていて、巣を守る兵隊、食料係や穴掘り係など、役割分担がきっちり決まっている。ネズミでありながら、人間社会にも通じるような組織に、今泉さんも驚いたという。

「女王のフンをほかのネズミが食べると、フンの中に含まれているホルモンの影響で子育てがしたくなるという研究結果もあるんです」

 子育てがしたくなったネズミは「ふとん係」となって、女王が産んだ赤ちゃんにくっついてあたためる役割を果たすのだそう。

今泉さんによると最近の研究で、ハダカデバネズミが、仲間の尾っぽを引っ張り労働を邪魔することがあることもわかったという。仲間の邪魔をするなんて、なんと人間と似ているのだ、とこれまた驚いたと話した。

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今泉先生の一番好きないきものは?