

宇宙旅行ビジネスが世界的に活発になりつつある中で、日本は存在感を示せるのか。宇宙飛行士で「スペースポート・ジャパン」代表理事の山崎直子さんが語る。
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宇宙旅行ビジネスを「オールジャパン」で後押しする態勢が始動しています。
2018年7月に設立した「スペースポート・ジャパン」(SPJ)は、日本が宇宙旅行ビジネスでアジアのハブとなるのを目指す非営利の一般社団法人です。国内主要企業とともに、19年の年明けからスペースポート(宇宙港)候補地となる自治体との意見交換を始めます。
米国企業は19年中にもサブオービタル(準軌道)の商業宇宙旅行をスタートさせる見通しです。米国には12カ所のスペースポートがありますが、海外展開も見込まれます。イギリスやイタリアは政府主導でスペースポート整備に取り組み、アラブ首長国連邦やシンガポール、マレーシアも開港に強い関心を示しています。
今動かないと日本は取り残されかねません。SPJは高度な航空宇宙産業が集積する日本の優位性を生かし、21年開港に向け、関連企業をつなぐ窓口機能を担います。
具体的には、3千メートル以上の滑走路を持つ既存空港の併用をイメージしています。国内のサブオービタル機開発も見据え、国内に複数の設置が必要と考えています。しかし、航空法も、18年11月施行の宇宙活動法も、サブオービタル機の商業運航に関しては対象外。早期の立法化など環境整備が必要です。
サブオービタル機は地球上の2地点間飛行にも使われます。そうなると、地球の裏側で起きたことも「遠くの出来事」ではありません。誰もが宇宙に行くことで、「宇宙船地球号で暮らす地球人」との意識も広まるでしょう。夢の実現まであと一歩です。
※AERA 2019年1月14日号