大麻取締法には、大麻の栽培や所持などの罪を国外で犯した場合でも、同法の適用を認めるという規定が設けられている。この規定は通常、処罰することが国家間で共通の利益となるような犯罪に対して設けられており、ハイジャックや戦争犯罪、麻薬犯罪などがそれにあたる。大麻取締法に、この規定を設けることで、大麻の取り締まりが国家間の共通利益になると考える日本が、相手国と協調して処罰していくという決意を表明しているのだという。
しかし、大麻を合法化したカナダとは、大麻を取り締まる共通利益がなくなる。それでも大麻取締法が適用されるなら、母国で大麻を所持するカナダ人も日本で処罰の対象になってしまう。実際に娯楽用大麻を合法化している米国州などで大麻を所持したとして、帰国後に日本人が処罰されたケースは聞いたことがないという。
もちろん、カナダで購入した大麻商品を国内に持ち込めば、国内犯として大麻取締法の処罰対象になる。では、カナダから郵送されてきたクッキーを大麻商品と知らずに食べてしまった場合はどうか。「大麻に関する罪は『故意犯』ですので、知らずに食べた場合は犯罪にはならない」と園田教授。
そうだとしても、故意でないことを事情聴取で証明する必要性が生じるなど面倒に巻き込まれる危険性は常にある。
園田教授が強調する。
「日本国内に大麻を持ち込むことは厳罰に処せられますし、カナダでも国外への持ち出し、国内への持ち込みは相変わらず違法です。国によっては日本よりも厳しく処罰している国もあります。海外に渡航する際には十分に注意を払うべきです」
大麻が合法の国(州)と違法の国が混在するいま、予期せぬトラブルを回避するためにも、安易な好奇心からの行動を避け、より慎重な判断力が求められている。(編集部・山本大輔)
※AERA 2019年1月14日号より抜粋
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