同行者や警備が手厚い両陛下、皇太子ご一家と違って、最小限度のスタッフで動けることも強みだった。「多様な人々を結ぶコーディネーター」。秋篠宮さまは自身をそう評したという。

 皇嗣妃殿下となる紀子さま(52)も、秋篠宮さまと一緒の公務のほか、単独での活動も目立つ。療養が続く雅子さまに代わり、日本赤十字社の名誉副総裁として各地での大会に出席。結核予防会の総裁としても精力的に活動し、昨年10月にはオランダ・ハーグで開かれた肺の健康世界会議で、国際結核肺疾患予防連合(本部・パリ)「名誉会員」の称号を授与された。王族や皇族の受賞は初めてという快挙だった。

 お二人の活動が代替わり後どうなっていくのかは、まだ調整中だ。だが、ご夫妻はこれまで同様に身軽に動けることを望み、スタッフ・警備態勢も軽減したい意向だという。

 次世代を担う唯一の男性皇族である長男悠仁さま(12)の「帝王教育」も注目される。皇族として戦後初めて、学習院初等科ではなく、お茶の水女子大学付属小学校で学んでいる。春には中学生になり、さらに教育体制の増強が図られる見通しだ。

 13年5月、宮内庁は両陛下が長く続けてきた「こどもの日」と「敬老の日」にちなむ訪問について、15年以降は皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻に譲りたいという両陛下の意向を明らかにした。次期天皇、皇后である皇太子ご夫妻だけでなかった点に、今後の皇室は兄弟が力を合わせて担ってほしいという親心が感じ取れた。

●誕生日前会見で口にした親心あふれるメッセージ

 それに先立つ12年春からは、天皇陛下と皇太子さま、秋篠宮さまが月1回集まる定例懇談が始まった。天皇陛下が心臓手術を受けた時期で、皇后さまの発案で実現した。陛下が象徴天皇としての体験や考えを伝え、率直な意見が交わされている。

 現在、男性皇族は皇太子さま、秋篠宮さま以外には、天皇陛下の弟で83歳と高齢の常陸宮さま、12歳の悠仁さましかいない。今後も新天皇、皇嗣のお二方にかかる比重は大きい。代替わりを控え、兄弟で話し合う機会も増えているという。

「皇室の伝統を引き継ぎながら、日々変わりゆく社会に応じつつ道を歩んでいくことと思います」

 天皇として最後となった12月20日の誕生日前会見。天皇陛下は皇太子さま、秋篠宮さまへの思いを口にした。父として、親心あふれるメッセージだった。(朝日新聞社会部・島康彦)

AERA 2019年1月14日号

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