俳優・佐藤二朗さん
俳優・佐藤二朗さん
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 個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は枯渇感の正体について。

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率直に言う。

なんか、最近、俺、ヌルい。

いや、ありがたいことに、本当に大変ありがたいことに、仕事は順調だ。

俳優としてありがたいお話を頂いたり、現場一丸となってその撮影にのぞんだり、徐々にチームとしての結束が高まっている感じの歴史探偵も、人間以外の役が多いマチスコープも、楽しくやっている。

しかし、なんか、ヌルいのだ、俺自身が。

現在、2月からインしていた映画の撮影が終わり、次の映画が間もなくインするという準備期間なわけだが、もっと、こう、もっと今、俺にできることはないのか、と思う日々なのでありんす。

突然、ドラマ「JIN」での中谷美紀さんの口調のようになってしまったが、なんだろうな、この枯渇感は、と思うのでありんす。

まだあるだろう。まだ出してない俺があるだろう。と、さして根拠はないくせに半ば確信めいてそう思い、焦るのだ。

以前、このコラムで俺は、「この俳優は大体このポジション、あの俳優は大体あのポジション」みたいな、なんとなくのイメージで自身に与えられた「居場所」なんぞ木っ端微塵にしてやる、と威勢よく書いた。

しかし、その大仰な威勢に見合う何かを、俺はしているのか。

「うんこ」の3文字でツイッターをバズらせてる場合ではない。

いやバズったっていい。別に「うんこ」でバズったっていい。反応頂いた方々、ありがとね。

「バズる」という言葉を最近覚えたので使いたくてしょうがないわけだが、とにかく、もっと自分にできることはないのか、と焦燥に駆られる毎日なのだ。

なのに、夜になると「ま、これ以上考えても今日は仕方ないから、呑んじゃお」と酒を呑んでしまうのだ。

今日の晩酌の肴、なにかな。

ちょ待て。まだ昼だ。今夜の晩酌に思いを馳せるにはまだ早い。

「馳せる」と「バズる」って似てるね。

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大好きな俳優・阿部寛さんの言葉