中園:愛加那は畑で亡くなったと伺いました。西郷が残した畑ですよね。愛加那は自分のもとから離れても深く西郷を愛していた。そこまで女性に愛される西郷はどんな人だったんだろう。そういう想像力、女はよく働くんです(笑)。
隆文さんは、隆盛と愛加那の息子、菊次郎を祖父に持つ。
中園:菊次郎さんの人生も、ドラマチックですね。奄美で生まれ、留学をして、西南戦争で片足を失い、台湾に行き、京都市長になり。菊次郎さんの人生も大河ドラマになりますよね。林さんは、写真の印象も鮮烈だったみたいです。写真の前で足を止めて、「なんていい写真」とほれぼれと見上げていました。
西郷:先日、京都の近代化に貢献したと、京都市から菊次郎宛てに特別感謝状をいただきました。そんなふうに注目されるのは初めてでうれしかったですね。
中園:今日お会いすることもそうですし、菊次郎さんに導かれて、今回の大河が成り立っている気がします。ずっと菊次郎を誰が演じるかを考えていました。そうしたら、ある日、西田敏行さんが菊次郎を演じている夢を見たんですよ。「菊次郎は西田さんしかいない」という気持ちになって、思い切ってオファーしたら、快諾してくださった。
西郷:実は私、菊次郎を西田さんが演じるのではと、大分前に感じていたんです。最後のナレーションの「今宵はここらでよかろうかい」というせりふも、菊次郎が京都で昔語りをしていると考えれば、話が通りますからね。
中園:すごい直感力ですね。菊次郎さんは、どんな方だったんですか?
西郷:寡黙で、父たちが何を言っているか慮らないといけない人だったそうです。父も厳しい人でした。食事や動物園に一緒に行った記憶はないです。
中園:薩摩の男ですね。隆文さんのお母様は島津家ですよね。
西郷:はい。母が日置島津家です。母方の祖父に、島津家別邸「仙巌園」が博物館(尚古集成館)を開くとき、館長の誘いが来たそうですが、「わしを門番にするのか!」とすごく怒ったそうです。結局、やったそうですが(笑)。小学校3年生の時にあった葬式は、盛大でしたね。